「和佳菜!」
琢磨のようにきつく抱きしめたその人は。
「…ママ」
ロンドンにいるはずのママだった。
「どうして……」
「どうしてもこうしてもないでしょ!和佳菜が居なくなったって聞いて、ママ…またあの日のように和佳菜が傷ついているのかもしれないと思ったら、心配で、心配で」
そうだった、あの日はママにも迷惑をかけた。
泣きそうなママを見たら、ごめんなさいの一言も言えなくなってしまった。
「ママ…っママっ!!」
もう、16になったのに。
いや、まだだっけ。
自分の誕生日さえも忘れてしまったあたしは、子供のように泣き始めた。
そしてあたしは。
まだまだ幼い、ただの高校一年生なんだと思い知らされた。