「…そういうことだったんですね」


婦警さんが相づちを打ってくれるその仕草に、小さく頷いた。

「分かりました。今日はもう、帰っていいですよ。またお話を聞くこともあるかもしれませんが。ご家族の方がお迎えになられるので、少し待っていてください」

そう言って婦警さんは、出ていった。

呆然と、何をする気力も起きないあたしが逃げ出す可能性が低いと考えたのか、この部屋にはあたし以外誰もいなかった。

取調室、とは違った会議に使用されるような少し広い部屋には、長テーブルと、パイプ椅子と、ホワイトボード、スクリーン…くらいしかなかった。


日本の取り調べはまだまだ優しくて、アメリカはもっと厳しかった。

ああ、いや、あの時は、あたしがマリファナの入手ルートを知っていると思われて、勝手に疑われ、執拗に責められ、吐け吐けと、脅されたから酷かったのかもしれない。