[かな……………………、わ……ワカ、……。ナ……ワカナ]

ふっと見上げると、愛しい人が私を心配そうに見ていた。

「…え……?…あ、お帰りなさい。ごめんなさい、私何も作ってなくて」

[いや、それはいいんだ。だけど、君の表情が晴れないと、セブから連絡をもらってね。最近ゆっくり時間を作って会えていないから、今日は早めに切り上げたんだ]

「そんな、…いいの?私に構っても」

[君が悲しそうな顔をする方がずっと嫌だよ。…ワカナ、どうした?セブに何か言われたのか?]

[いや、そうじゃないの。…その]

今、貴方が好きですって言う?

いや、今更って思われるわよね。

毎日朝、愛してるって言葉に、私もって返しているのに。

何言っているんだって揶揄われそう。

それは嫌だなあ。

「和佳菜」

日本人のような言い方で、マークがいきなり私の名前を呼んだ。

「…なに?」

「君は、僕がここに連れ込んだことを恨んでないか?」

恨む…?

「なんで、恨まなきゃいけないの?私をここに閉じ込めておくのは私を愛しているからでしょう?」

「…そうだよ。出会った頃の君はそうは思ってくれなかったから」

「そうなのかしら。…でも、私。今貴方とここに居られて、とても幸せ」