[…ねえ、セブさん]

そのままロビーを通過し、エレベーターを目指す。

[はい]

[いつ、アメリカに帰れるのかしら]

[そんなに帰りたいのですか?]

[ええ、久しぶりにスミレともルーカスともジャクソンにも会いたいし、…ああ、オリバーを忘れちゃいけないわね。とにかく、みんなに会いたいの]

そう言って振り返ると、セブは何やら考え込んでいた。


[…セブさん?]

[…ああ、いえなんでもありません。その件に置きましては、わたくしからマーク様にお伝えしておきましょう]

[そう?なら、お願い]

セブが考え込んでいた理由を、私はなんとなく察していた。


けれど知らないふりをして、いつもの部屋を目指した。