「逃げたい…?」
「はい。マーク様、実は最近和佳菜様と朝しか会えていないことで少々不安があるそうでして」
「それで自分で聞けないから、セブさんにお願いしたの?マークも馬鹿ねえ。あたしは誰に聞かれたって同じことしか話さないのに」
そうしてあたしは小さく笑うと、心のうちのことを正直に伝えることにした。
[逃げたいなんて、微塵も考えてないよ。それは最初は元の生活に戻りたいとは思ったけれどもね。だけどマークに愛されているうちに、…私、ここに居たいと強く思ったの]
これが恋なのか、愛なのか、それともはたまた別のものなのか。
恋愛に疎いあたしには分からないけど。
だけどただひとつ、はっきりとしていることがあった。
それが、ここに居たいということなのだ。



