必要なものはすべてこの部屋にあった。

トイレも、洗面所も、洗濯機、テレビ、キッチンに冷蔵庫、ガスも水道も電気も。


だからこの部屋の中でなら、好きにしていいと、言われていた。

部屋の前には監視員が24時間立っているし、外出する際には彼らに許可を取らなければならなかった。

まあ、大抵は監視員がついてくるのだけど。

要は、この部屋を出たら用をたすとき以外には、1人にするなということなのだ。

「…出て行くはずがないのに」

私はここから出て行かない。

理由は色々とあるから、言葉にはしないけれど。

はっきりしていることは1つだけ。


まだ私はここから出て行かないということ。

「それまでは鳥籠の中の鳥のように、大人しくしてますか」

洗濯や掃除、ご飯を作ることくらいは許されている。


それをやりながら、長い1日を過ごすのかと思うと、ふうとため息が漏れた。