おまけにあたしは知りたくないものまで知った。
裏社会のルールやマナー、そこで泣く人を沢山見てきた。
あたしはそれでも動かなかった。
自分の地位やお金のことを考えて、あたしは彼等を見捨ててきた。
あたしが今生きているのは、彼等の贖罪の為。
そうでなければ、あたしが生きている意味なんてない。
「昔話はもういいでしょう。とにかく琢磨を帰して」
[彼はきっと死んでるよ]
「いいえ、あたしが死んだのを見届けていない限り琢磨が死んだとは言わせないわ。それまであたしはあの国に帰らないし、貴方の思い通りにもならないわ」
[ならない、なんて何故言える?]



