あの頃のあたしは色々なものに興味があった。

お金、地位、ブランド。

マークには全て与えてもらった。


だけど、幸せだなんて思えなかった。


「…あたし、叶えてもらってない。だって、あたしが本当に欲しかったのは自由で。あの頃の世界に、貴方の立場上、あたしに自由なんてなかった」

あのときのあたしはたしかに興味はあった。


そんな欲望を手に入れたらどんな世界が待っているのだろうかと。

だけど待っていたのは、幸せじゃなくて。


ただの虚無感だった。

だから、あたしは幸せじゃなかったの。

心の奥底から欲しいと思ったものじゃなかったって、全てを持った時にそう思った。

あたしが本当に欲しかったもの。


それは、何にも換えられない自由だった。