[目を覚ましたかい?気分はどうだ]
「今までの寝起きの中で最も悪いわ」
[おやおや。彼氏にそんな口の利き方は良くないね]
ここにマークのSPはいない。
誰が見たって、2人きりだ。
それをいいことに、マークは好き勝手にあたしで遊ぶ。
髪の毛をくるくるとマーク自身の指に巻きつけたり。
あたしの頭をわしゃわしゃとなでつけたり。
昔のあたしに良くしたことばかりを、作られた笑みでやっている。
まるで機械のように。
昔はそれが好きだった、だけど。
今求めているものはそんな安っぽいものではない。
あたしはまた、そうやって、貴方のことが好きじゃないと思ってしまうのだ。
そして誰もいないからこそ、言えることだってある。
「貴方の犬になるつもりはないわ」
[犬じゃない。僕の彼女さ]
「それは名目上でしょう。あたしはもう外に出て知っているの。貴方があたしを洗脳して、支配していたのを」
[洗脳なんて酷い事を言う。俺は、君の望みを叶えていただけだ]
望み。
確かに叶えてもらった。
だけど、あれはあたしの本当の望みだったのか?



