[非情な姪だね。まあ、でも大変だったみたいだよ。スタンガンを持った男五人ががりでようやく捕まったらしいし]

「非情な扱いをしているのはそちらでしょう…!…ねえ、どうするつもりなの。あたしを」

声を荒げそうになる自分を懸命にとどめた。

貴方が、…琢磨をどこかに葬ったというのに、あたしが非常な姪ですって?

やはり貴方とは、合わないんだ。

それがきちんとあたしの心に表れていた。

そのせいなのか、さっきからMarkの意図が全く読み取れない。

[その話は着いてからしよう。…夜は長いからね]

そうして手を滑らせるように瞼で移動させると。


驚くほどすぐに夢の中に入った。




「…かな。…………和佳菜」


ハッと目が覚めた。


気がついたらまた景色は変わっていて、どこかの部屋にいるらしい。

ここがマークの言っていたホテルなのかもしれない。

辺りは暗く、スタンドライトが数個灯りをともしているだけだ。

赤い絨毯に白いベット。

細やかな装飾が施された白い丸テーブルは、同じような装飾が施された椅子とセットで窓際に置いてあった。

まるでどこかの宮殿の一部を切り取ったようにゴージャスだった。