「な!何をしている!」

「お祖父様には大変感謝しております。和佳菜と会う機会を下さったことには。ただ、1つ残念だったことはここにいる全てはうちの会社の人間なんです。お祖父様の“周囲の目があるからそう簡単には和佳菜に手を出さない”と踏んだのを利用させていただきました」

あたしには分からない話を平然と語るマークにお祖父様の顔は真っ赤に染まっていく。

「お、おのれえ…!和佳菜を、琢磨を!早く返せ!」

「琢磨くんには、和佳菜を捕まえる駒となっていただきました。もうここには帰ってきませんよ。和佳菜については」

少し笑うと。



「一生僕だけのものです」


そう、宣言した。

「お、おい!早くあいつを捕まえろ!」

黒服の男達が走って来るのをみて彼は。

「それはいけません」

にこやかに笑った。

あたしを軽々抱き上げると、煙の中に入っていく。


「マ、Mark Steve!覚悟しておけっ!」


「もう一度言いましょうか。和佳菜はもう戻しません。一生僕の側に置きます」

そうしてあたしの鼻に何かの薬品を含ませた布を押し当てた。



そしてふわりと笑ったマークは、意識を飛ばすあたしを抱きしめた。