辺りがしん、と静まり返る。

「…このような場で大声をあげるのは礼儀としていかがなものかと思いますが」

礼儀知らず、と言いかけて口を噤んだ。

貴方が言えない雰囲気を醸し出していたから。


早く、その目を、その口を、閉じて。

あたしの方にその悪意を向けないで。

怖いの。

貴方が、怖い。

足が再び震えだした。

琢磨、琢磨はまだ来ないの?

あ、ああ……もしかして。

「ご無礼を承知で申し上げております、Ms.ミズシマ。ですがどうしても、今、貴方には行ってほしくないのです」


「何故?」

理由を聞きたくなんてなかった。

嫌な予感が拭えない以上、聞くなんて絶対にしたくなかった。

それでもあたしがそれを選んだのは。




「お祖父様、…申し訳ありません」







琢磨がもうここに戻って来ないと、悟ったからに他ならない。