「初めまして。…Ms.水島。会えて光栄だよ」

はじめましてなんて、嘘ついて。

周りの目を気にして、正直に言えない貴方は間違えなく、お祖父様側の人間だ。

「…私もです」

あたしは震える足に必死で力を入れると。

数ヶ月ぶりにしっかりと相手の顔を捉えた。

ぎこちないだろうが、笑みだって浮かべて見せた。


あたしは負けない。

あたしを傷つけた貴方にも。

ここで再びここで会わせたお祖父様にも。


「お祖父様、わたくしこれから用がありまして、今回はこれで失礼させていただきます」

「だが、和佳菜」

「失礼致します、スティーブン様。どうぞ楽しんで」

丁寧にお辞儀をすると、微笑んでお祖父様に何も言わせなくする。

恐らく、お祖父様の目的はまだ果たされていないのだろう。

あの人の目的も。

歪んだ顔がそれを物語っている。

だけど、あたしは負けない。

琢磨が来ない以上、自分でなんとかするしかないのだから。

僅かにあの人が、舌打ちしたのが聞こえた。



「お待ちください!」