「……なによ。琢磨のくせに」
「くせにって言うなよ。すぐに追求しようとするところはお前の悪い癖だ。…今知らなくていいこともある」
「じゃあ、いつ知ればいいのよ」
「…来週、お祖父様の誕生パーティーがある。ちゃんと準備しておけよ」
「それ、答えになっていない」
「とにかくそういうことだ。まさか、忘れてねえだろうな?」
そう言われるとぐっと詰まる。
…お祖父様の誕生パーティーなんてもう何年も行っていなかったから。
「……お祖父様の誕生日って来週だったんだ」
「あ、忘れてたな」
「わっ!忘れてなんかいないけど!あ、あのドレスを着るのが嫌だなと思ったのよ!」
ははは、と乾いた笑みを浮かべた琢磨は。
「そーゆーことにしといてやる」
となんだか納得していないやり方で話の幕を下ろした。



