理由は単純明解。
人が集まるから。
あたしのおじさん、当たり前すぎて言ったことがないのだけど、顔は格好いいほうなんだ。
イケメンにある程度免疫があるあたしはなんとも思わないのだけど、他の人はそうはいかない。
小学生の時に友達に紹介したら、彼氏にしたいと、割と本気の顔で言われたことがあったことがあるくらいに。
「あ、初めまして。こんにちは、和佳菜の叔父です」
「初めまして。和佳菜さんと仲良くさせてもらってる、」
「このみ、だよ」
「それくらい自分で言うよ。なんで先に言っちゃうの」
「だってこの人、フルネーム言っちゃうとなんでも調べるからね。名前だけでいいの」
「なんでもって酷えな。調べるわけないだろ?お前の大事な友達を」
「このみ!簡単に信じてはダメよ。この人、あたしでも予想がつかないことをするのだから」
「叔父に向かってそれはないだろ」
そんな言い合いをしているとこのみがクスクスと笑いだした。
「ふふっ…。ほんと、仲いいんだね。じゃあ和佳菜の言葉を信じて名前だけにしましょうかな」
「ちょっと!」
琢磨が慌てたのを見て、あたしも笑った。
最後はギャラリーが集まったせいで琢磨が困惑したのか。
帰るぞ、と無理やり引っ張られて、学校を出た。



