バタンと戸が閉じる音がして。
静寂がリビングに広がる。
「和佳菜……ごめん」
崩れ落ちたあたしを、千歳にいちゃんが持ち上げた。
「なんで……なんで、こんなことになってるの」
「……俺らはもう40も過ぎて、おっさんなって、あの人から逃げる和佳菜を守りきれないことは、よく分かってたんだ。おまけにいまは千歳も勝哉も俺も琢磨もみんな違うところで生活してる。そう簡単には会えないし、もうただのおっさんになった俺らはなんの力も持たない」
「でも、だからって」
「分かってる!こんなやり方間違ってるし。絶対におかしいと解ってる。でも、ふつうに言ったら和佳菜が納得するはずがない。嫌だというに決まってる」
「それで強制的に……?」
「獅獣の現総長が銀深会の頭の息子であることは知ってる?」
「…前に、琢磨から」
「やっぱり伝えてたんだ。そっちにも琢磨は手を回して、護ってもらうように頼んだんだ。和佳菜が安心して高校3年間を過ごせるようにと」
「…あたしの、ため?」
「そうだよ。あいつ不器用だから、こんな風にしか護れてないけど、ちゃんと和佳菜のこと思ってるんだよ」
「でも…」
「もともとつながりを持ちたがったのは、向こうなんだ。…ほら、色々と取引がしやすいでしょ?琢磨はそれに巻き込まれることも心配していた。だから、…条件を出した」
「…条件?」
「和佳菜が幸せであること」
「……幸せ」
全てが繋がった気がした。



