「待ってよ。あたしが失望したのは、琢磨で」
「でも、お前がそこにいて幸せだったわけじゃないんだろ?」
「そんなことは!」
「だけどお前はそう言った。その事実は変わらない」
そういう意味で言ったわけじゃない。
あたしは確かに、仁にも綾にも獅獣のみんなにも嫌な気持ちを持ったけれども。
持ちかけたのはきっと彼らじゃない。
「琢磨!」
この人以外に想像できないんだ。
「昌、千歳。寝室に連れて行ってやってくれ」
「なにを言っているの!」
「…仁はもうきています」
「和佳菜をよろしく頼む」
「琢磨……!」
琢磨はあたしを見ないままリビングから姿を消した。



