蒼の花と荒れる野獣


「…なんで先に仁に聞かなかったんだ」

綾の掠れた声がリビングにこだました。

「仁は忠誠心が強いから。どんなことを言ったって絶対に口を割らないと思ったのよ」

あたしが誰から聞いたと聞いた時、琢磨に影響があるか、と聞き返された。

ならば話さないと。

もう、あたしにはそれで十分だった。


どんなに聞いたってきっと話してくれない。


だから、きちんと聞くしかなくなった。



なにもかも決めたその人であろう、琢磨に。





「なら、仁の案は棄却するしかないな」


「…え?」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

理解なんてできるはずがない。

そしてつぎの句を聞いたとき。

ようやくその言葉の意味を理解した。

そして同時に。


「……綾、仁を呼べ。これから話がある」



頭の中が真っ白になった。