「どういうこと?」

「和佳菜は、本当に仁の大切な人だと思う。まあ、彼女じゃなくても、な。現にお前が、来てから一回も夜の喧嘩をしなくなった」

「喧嘩というか、人をただのストレス発散の道具にしてるだけでしょ」

「……それ、仁の前で言わないでね、和佳菜。ほんとに仁が荒れちゃうよ」

「あたしに向けて怒鳴ったことなんてないけど?」

「うっわ、どれだけ入れ込んでいんだよ」

「こら、悠人。やめとけ。仕方ねえだろ、恋ってそんなもんだよ」

「いや多分恋じゃないんだけど」

恋、というよりはどこか、あったかいもの。

だって仁はあたしに何もしない。

もしあたしのことを獲物(こいびと)だと思っているのなら、襲わないはずがない。

襲おうとしても断固拒否するけど。

拒否したことさえないということは、別に好きというわけでもないのだろう。

……ねえ、そうでしょう?




仁…。