1人、何も喋らなかった男の子が口を開いた。
小さなほっそりとした鼻に、薄ピンク色に染まる唇。
身長はあたしよりも高いけど、男の子の身長とは言えない。
青年というより、少年と言った方が正しいようなくりりと大きな目は、真っ直ぐにこちらを見据えていた。
だれかに聞かなくても分かった。
彼があたしが出会った最後の幹部だ。
影の人間はこんなにしっかりとしたオーラを纏えない。
「意地張って何やってんの?君は獅獣の何を知ってるの?ねえ、たかだか数週間で姫になれた和佳菜さん。何も分からない君が身勝手な行動をするのは謹んで欲しいかな」
凛とした声に逆らう者はなく、ただ中心にいる名前も知らない彼の言葉を黙って聞いている。



