「でもこれでいいと思った」
「じゃあ現状に満足しているの?」
「そう、ですよ?」
「…何一つ不自由ないのね?自分が取ってきた情報が表舞台には一切名前が乗らないまま、多くの人に使われても黙って見ていられるというのね?」
「……それは」
「こんな制度誰が作ったのか知らないけれど、あたしはいいとなんて思えない。自分が好きでやっているならきっといいのかもしれない。けれど、ここの皆さんはいいとなんて思っていないようね」
「…………」
彼らは何も言えない。
満足している人間はいくらだって反論が思い浮かぶのだろうけど、何も言えない。
つまる話をするのであれば、彼らは不満なのだろう、現状に。
だから、あたしは仁に向き直る。
「仁、貴方には失望したわ。ここがこんなに泥臭くて汚いものだと思わなかった。ここにはまだ希望や未来があると思った。……残念よ」
彼は何も言わない。
「…帰るわ。もうここには来ない。貴方達に守って貰う必要性はなさそうね」
リュックを背負うと、幹部室のドアノブをひねった。
「待ちなよ」



