「敬語はキモいから禁止。それと、綾って呼ぶこと。いいな?」

決定事項のように、命令される。


「キモいは酷くないですか?」


「俺は感想を述べたまでだ。いいな?」


「はい…」


「じゃなくて!いいな?」


「は……あ、……うん」


「名前は?」


面倒くさい!

そんなのどうでもいい。

呼び名は所詮呼び名。

それを変えたからといってなにか特別な変化が生じるわけじゃない。

この人は一体なにを考えているのか。

あたしには理解できない。


「綾。これでもういいでしょう?」


そう投げやりに言うと。




「合格」





と満面の笑みを浮かべた。