「よろしくお願いします」
「同じことを何度も言うが、いつものことなんだから、言わなくてもいいだろ」
「仁は、いいかもしれないけれどあたしは違うの。部外者なんだから、礼儀作法くらいはきちんとしていないと駄目でしょう」
「お前は、獅獣の姫だろ。部外者じゃない」
「いいえ、あたしは姫でも仁の家の人間じゃない」
「だから、」
「おふたりは仲が良いですね」
「あ………すみません」
そうだ、ここには菅谷さんがいたんだ、忘れてた。
「いえ、仁さんが素敵な女性と出会ってくださり、嬉しい限りです。ですが、そろそろ出発してよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「だから…」
「仁さん、それくらいよろしいのでは?和佳菜様の意志でございますよ」
そう言われると、仁も何も言えないのか、黙って意識を外に向けてしまった。



