「現在位置がこれで分かってしまったわね。どうしようかしら。ここを抜けなければならないのかしら」
あたしがいることでまた、傷をつける。
大切な誰かに。
だけど、あたしはここに居たいの。
ねえ、どうしたらいいのかしら。
あたしね、もうここから出たくないの。
我儘なんて言える立場じゃない。
あたしはまだ囚われの身。
だけど、どうしようもなくそう思ってしまうの。
「決まったわけじゃない、から」
ね、だから。
位置情報が向こうに流れたと決まったわけじゃないから。
何かが始まる前に、この闘いを止めなければならなかったはずなのに。
現実から逃げるように、目を瞑った。
まだ、少し、ここに居たい。



