蒼の花と荒れる野獣


「浮気してないか、気になるし」

「しないでしょう。綾って一途だってよく分かるわ。学校内だって、話すのはあたしとだけだし。あたしとだって、必要な会話しかしないもの」

「無愛想なんだよねえ。でも、ここだけの話ね?お姫様が来るって聞いて、あたしすごく焦ったの。ワカナって聞いた時は、名前とあたしの思うワカナかはわからなかったし」

ワカナかあ、と天井を見上げてため息をこぼしたジュリア。

「…敵、増えちゃったなあ」

「なんのこと?」

「ううん!こっちの話」


その時、丁度よくノックがした。

どうぞ、と何の気なしに返事をすると綾が入ってくる。


「綾…?どうしたの?急に」

多少の女らしさが混じったジュリア、もとい夢にニコッと綾は微笑むと。

「そろそろ、夢を返して欲しいんだけど」

夢を抱き寄せながら、あたしにそういった。

「えっ…あの、ねぇ」

「いいよ、丁度話もひと段落ついたところだし。あたしも生憎病み上がりだしね。おふたりで仲良くやってちょうだい」

「サンキュ」

戸惑う夢をよそに彼女の肩を抱いて、行くか、とあたしに背を向ける。

「わ、ワカナ。また話そうね」

「ええ、もちろん」

振り向いてあたしにそういった夢は、綾とともに救護室から出ていた。