仁、まだ言ってなかったの、とぼんやりとJuliaはそう返すと。

「別に、仁だって隠していたわけじゃないと思うわよ?ただ、タイミングが合わなかっただけ」

「Juliaは知っていたの?」

「…ええ。あたしはここにきてもうすぐ3年になるからね。家のことは知っていたわ」

「…ねえ、Julia。あたし達、ずっと運命には逆らえないのね」

もう、逆らうことなど忘れてしまいそう。

ここだってマフィアという怖い人達のいる世界。

やはり切っても切れない繋がり。

「それでも、この運命を受け入れるしかないんだよ、ワカナ。やるしかないの、そうじゃなきゃ生きていけない」

「あの人と…同じ世界でも?」

「全てが一緒ってわけじゃないじゃん。仁の家がヤクザ、イコールあの人になるってことでもない。人生悲観しすぎだよ。ねえ、もっと楽しいと思って生きなきゃだよ」

そうやって、なぜ楽しそうに笑えるんだろう。

何が楽しいのだろう。