「もしもし」
琢磨がワンコールで出た。
「たっ、琢磨?あの、あたし…和佳菜!」
「…あ?」
「え?あれ、…琢磨じゃないの?」
「…そうだよ。俺だ。和佳菜だって?どうしたんだよ、急に」
「いや、連絡してなかったなあって思って」
「そんなの仁からとっくの前に来てるぞ。なんだ、そんなことで電話してきたのか?」
「そんなことって、……前回腹を立てたのは貴方でしょう?」
「それもそうか。まあとにかく、ゆっくり休め。熱出したんだろ?」
「なぜそのことを」
「仁からある程度のことは聞いている。あいつは同じ失敗はしねえよ。前回のことだって、あの場に居なかったから、ちゃんと連絡を入れて謝ってきた」
仁って律儀なんだ。
想像と重なるのでそれもそれで笑えてしまう。
「さすが、総長ね」
「それもそうだが。あいつは、ああ見えて銀深会(ぎんしんかい)の若頭だからな。そんなの出来てとーぜんなんだよ」
「…は?」
「あ、仁から聞いてなかったのか?あいつの家はヤクザだぞ?」
ヤクザって、あの。
「あ、お前にはジャパニーズ マフィアって伝えたほうが早いか」
Japanese Mafia……?
それって…。