これも全てあたしの安全を保障するためのもので。

だけど、こうやって仁達、獅獣の人たちと関わっていくことで、規制は軟化の一途をたどっていた。

そして遂に宣言したのだ。

少しの自由は許す、と。




だから、あたしはせっかく掴み取った自由を簡単に手放したくはなかった。


これはここのためであり、あたしのためである。


「お願いJulia。…携帯を貸して！」

多分、あたしの携帯は使えない。

画面が割れて、もうボロボロになってしまっている。

画面のガラスを変えて仕舞えば使えるのだろうけど、そうしたいとは思わなかった。

…連絡、国を出てから一回もなかったのに。


「い、いいわよ？」

そう言って取り出してくれた携帯をさっと抜き取ると、暗記している琢磨の携帯の番号にかけた。

もしもの時に覚えとけと、言われたのが今になって役に立っている。

こんな時に役に立つなんて、…琢磨も役に立ついう事を言うのね。