「じゃあ、なにが嫌なんだ。言ってくれなければわからない」

「あたしは、明日ここにいてはいけない」

「なぜ?」

「……明日、南たちはみんなの目の前には現れないわ」

「はあ?和佳菜、なに言ってんの。俺、今日だってあいつらと打ち合わせしてきたんだけど?」

「打ち合わせなんて、口ではいくらだってできるわ」

問題は、中身。

だけど今回の話し合いについては、なにもかも向こうからの提案だった。

それに。

「さっき、昌さんから連絡が入ったの」

「昌さんって?」

「あたしの知り合いで、パソコンがものすごくできる、獅獣12代目の副総長」

「それで?」



「…真田は今、日本にいないのよ」


「はあ?」

「真田…なんだっけ?下の名前は忘れたけど、その人は今、アメリカに留学しているの。終了予定は、来年。だから少なくとも総長さんは明日そこにはいない」

「…綾。お前、総長と会ったって言ってたな。いつ頃だ?」

「確か、先月の初めだけど」

「それから1度も会っていないのか?」

「…ああ」

「それはさすがにないだろう。お前のことだ。何かしら異変は感じていなかったのか?」

「何も、わからなかった」

仁はため息をつくと。


「それで和佳菜。真田がいないというのは本当か?」

あたしの話へとと切り替えた。

「ええ、確かな情報よ。昌さんの情報なんだから、裏はとってあるし。仁の信用に値するとは思うわ。今そんな状況にある人たちが、貴方達と話し合うと思う?」