しばらく開けていなかったドアを開けて、まだ若干重い体を引きずりながら、あたりを見渡す。

仁の姿はあたしには見えなかった。

「和佳菜!起きたのか!具合はどうか?平気か?」

あたしを見つけたのは、仁ではなく心配性な綾で。

すぐに駆け寄ってきたところ、やはりとても心配してくれていたんだと思う。

「ありがとう。もう平気よ」

それでもまだあたしに完全に心を許していないのは感じる。

微妙に距離を置いているのは、きっとそのせいだ。

だけどやはり分からない。

あたしをここに誘ったのは紛れもなく、目の前の綾。

だけどこの人はどこかあたしに心を許さない。

というか、あたしを警戒している。


「和佳菜。平気か?」

あたしの顔を覗き込むのはできるくせに、あたしのすぐ近くにいることはできない。

「平気」

湧き上がる疑問。

「…綾、あの」

「和佳菜」

確かめようとしたら、まさかの会いたかった人に止められた。