電話を切って、ジュリアに返す。

「ごめん、ジュリア。昌さん勝手に調べたみたい」

「マサ、っていったっけ。あの人何者?いきなりワカナのフルネームを言って、早く出せって言うから怖かったよ」

「そっか、ごめんね。そういう人なの」

昌さん、もうちょっと常識人だと思っていたんだけどね。

どうやってジュリアとあたしが一緒にいることも、ジュリアの番号を知ったのかも分からないけど、パソコンができてハッキングの才能がある昌さんのことだ…まあ想像はつく。

40のおじさんになって、子供のように振る舞えるとでも思っているのかしら。

本当はさっきの電話で話したときに言えばよかったのだろうけど、なんせ昌さんの話の内容が衝撃的すぎてそれどころじゃなかった。

今度あったとき、しっかり言っておかなきゃ。

「そういえば、仁。随分と心配していたよ。あれで見に来るのも5回目。1度、逢いに行ってあげたら?」

「え?…だって、ジュリア。さっきあたしに仁は必要ないって」

「だけど5回もここにくるような人よ。心配ないことくらい伝えたいと思うのかもしれないと思ったの。ワカナが無理をしないとあたしに誓えるならね」


「それは難しいかな」