どこか人間不審になってしまうのもきっとあの人のせいなんだろう。

あの人の側にいた3年と少しで、あたしの心はなにもかも壊れたのだ。

それに気がつかないままに、あたしは時を過ごしていた。

だけどあたしもJuliaと同じように目を覚ました。

気がついたんだ、あれが異常であったと。

だから、戻らない。


あの人がいくら強引につれもどそうとしたって、あたしは帰らない。

帰りたくない。


もう、二度と。





プルル…………、プルル…………。

「あ、電話だ。ちょっとごめんね」

ジュリアが携帯電話を持って救護室から出る。

だけど、すぐに戻ってきた。

「あれ、ジュリア」

もう終わったの?

そう聞こうと思った。

だけど真剣な目でジュリアはあたしを見ると。

「ワカナ、…貴女のお友達からお電話」

あたしに自分の携帯を差し出す。

表情が固い。

「誰かわかる?」

「…話せばわかるよ」

彼女の声も固く、仕方なく電話を受け取った。