「…あ、ワカナ。起きてたの!いつから聞いていたの?」

あたしに気がついたJuliaが、微笑んだ。

そこに偽りはない。

「和佳菜は?って仁が聞いたところからかな」

「初めからじゃない。どう?落ち着いた?過呼吸にもなって、随分心配したんだから」

「もう平気よ。体も軽くなった」

そういえば、Juliaの顔がほころんだ。

「良かった。薬を飲んだから、効いてきたのかもね」

「麻薬じゃないわよね?」

「まさか。市販の風邪薬よ。…ワカナ、まだ疑ってるの?」

「…少し」

「……まあ、あたしも色々な人を色々なやり方で欺いてきたからね。簡単に信じてなんて言ったって信じてなどもらえないだろうけど。もう、あの日のあたしには戻らないよ」

「本当に?」

「本当よ。ワカナだって、あの人のところには戻りたくないでしょう?あたしも同じよ」


「…なら、いいのだけど」