「そういえば、どうしてここに」
「そうだった!貴女が泣いているから行ってあげてと、仁から要請がきたんだった。全く、人使いが荒いんだから。それで、どうしたの?」
「なんでもないわ。…あの人からの電話に、少し戸惑っただけ」
「あの人って、…ワカナ。貴女、もう関係ないって」
「Juliaだって来たでしょ?招集よ。…多分、そんな感じ」
「まだ、囚われているのね。あの人もワカナも」
「…そんなはずじゃ」
「いいえ、囚われているわ。だってワカナ、そうじゃなきゃ、動揺して携帯落としたりしないもの」
無残に割れた携帯をJuliaはあたしのだと知っていたらしい。
「そう!あれは?携帯はどこ?」
あたしの携帯を取り戻すためにあたしは部屋から出るつもりだったのに。
「拾っておいたよ」
訝しげにみるあたしをジュリアはほんの少し寂しそうな顔をすると。
「心配しなくても大丈夫だよ。中は見てない」
彼女の言葉はどこか信じられなかったけれど。
「早く、あたしのところに渡して」
今はそれどころじゃなかった。
過去を知るJuliaがみるよりもずっとここの人たちに知られる方がずっと怖かったんだ。



