「…久しぶり」
「そんなに緊張しないで?あの人の側からは離れたの。安心して、あたしはワカナの味方だよ」
「どうだか。あたしはそれを信じられる人生を歩んでいないのよ」
貴女たちのせいでとは言えなかった。
彼女の運命だってあの人のいるあの場所で少なからず狂ってしまっただろうから、彼女を一概に責めることができない。
それでも、複雑な想いを隠すことが出来るかと聞かれたら、それもまた難しい。
「そうだね。信じるなんて難しいのかもしれない。それでも一応宣言しておく。…ワカナは?あの人とはうまくいってる?」
「あの人とは、……」
言えない。
彼女があたしの過去の全てを知っているわけじゃないのを今、気がついてしまったから。
Juliaはあの日の出来事を知らない。
そうじゃなきゃ、不躾にあたしにあの人のことを聞くことができるはずがないのだ。
「もう、何もないわ」
戦闘不能の状態であるあたしが出した結論はちっぽけで、これであたしと共に策士とも呼ばれたJuliaと戦うことなどできない。
それでも彼女に話すことはできなかったんだ。



