高岡は、すました顔で笑い。
「なんのこと?」
なんてとぼけたが、そんなものあたしに通用するはずがない。
あたしも鈍いわけではない。
高岡ほどかと聞かれたらきっと違うだろうけれども。
「とぼけないでください。あたしが見る限り、あなたは随分鋭い方のようです」
一見したらきっとわからないであろう、あたしの目の漆黒の色が。
ここに来てから誰一人として分からなかったそのことが。
一瞬にして分かったあなたが、何かを隠していることなど案内をし始めた時点でお見通しなのだ。
それにしても嫌な言葉を思い出させる。
Princess。
その言葉は嫌いだ。
昔、あたしに似合わないと切り捨ててしまったから。
「その話も最初の疑問と同じ時に解決する。気ままに待てばいいんだ」
しばらく考え込んでから、高岡はそう答えた。
カッと頬が熱くなるのがわかる。
「それができないから、あたしは…!」
「そう怒るな。怒ったって変わらない。どっちみち、俺は話さねえよ」
「…あたしは、あなたの思うようにはなりませんよ?」
感じているのだ。
利用しようとしている、それを確かに。
それでも思い通りになんていかせない。
「さあ?それはどうかな。結局は俺らの思い通りだ」
不敵に笑ったその男の笑顔が、あたしは心底嫌いだった。



