「あれ〜?私、あなたと知り合いだったっけ?」
「……いや。そうじゃないと思うんですけど」
見たことがあるのだ。
あの人が、きっと今もいるであろう場所で出会ったその人を。
その人とは声や話し方が全く違って、目を開けるまで気づけなかったけれども。
「…あの」
「うん?なあに?」
「お名前って」
「あの」
「ああー!ごめんねえ。すっかり忘れてた!」
大きな目をさらに見開くとそれから作ったような完璧な笑みで。
「私は真田 夢(さなだ ゆめ)よろしくね」
話すと聞いてから5分くらいかかってようやく名前を教えてくれた。



