「…え?」
「び、びっくりしたあ。和佳菜ちゃん、でしょ?どうしたの?トイレにでも行こうとしてたの?」
「え、えと」
こちら暗くて、逆光のせいで生憎見えないけれど、これは女の人の声に聞こえる。
だけどあたしがきた1週間と少し、あたし以外に女の人の姿は見なかった。
誰……?
あたしが戸惑ったことを察したのか、ああーごめんごめん、と目の前のその人は言うと。
パチンと部屋の中に手を入れて救護室の電気をつけた。
途端に明るくなった室内に思わず目を瞑る。
「ごめんねえ。こうしないとよく見えないでしょ?」
いや、そうなのでしょうけど、これもこれで見えづらいの。
とも初対面の人には流石にいえずに、はあとなんとも情けない声で応対した。



