「和佳菜さん、出てきていいですよ」 一緒に遊んでいた直人(なおひと)がそう言ってくれた。 トランプのババ抜きを楽しんでいたあたしにとって、これは想像し得ないもので。 「ありがとう、ちょっと出てくる」 彼の言葉に甘えて、その場を離れた。 倉庫の奥に来たものの、出たら良いのかは迷ってしまう。 だって相手は。 あたしが最も恐れていた……。 あの人、なんだから。