だってそうでしょう?

いつも倉庫にいない仁。


『仁は忙しいんだよ』


相楽さんがそう言っていたからてっきり、ここのことなんかなにも考えていなくて、どこかに喧嘩をしに行ったり、女の子を弄んだりしているのかと思っていた。


もちろん、そうしているなんて、誰も言っていなかったけれども、琢磨はそんな人だったみたいだから、“総長といえば”というイメージがついてしまった。

「女遊びなんてしねえよ」

「そうなの?結構やっていそうなのに」

でも、違った。

そんなことはないと彼は自分が知らない間にそうあたしに証明していた。

鋭い目に最初は怖がっていたけれども、今はそんなこともない。

「…俺は、人を殴ってるだけだ」

悲しそうに伏せる目を、どうにかあげたくて。

「そんなこともないのよ?」

でもどうすることもできないあたしは。

あたしは貴方に微笑むしかないの。


「あたしは貴方の優しいところをたくさん知ってる」