「ここって総長しか入れない場所じゃ」
「総長が許した人間は入れる」
それはそうだろうけど。
「あたしを入れていいの?」
あたしが仲間じゃなかったら、とか考えないのかしら。
「馬鹿か。まだ言うのか?お前のことは信用してんだよ」
ペチって小さく頭を叩かれると、そのままドアを開ける。
あたし、信用されるほどいい人じゃないのに。
そう思っても高鳴る鼓動を止めることは出来ない。
彼が足を踏み入れると、中の暗い室内に明かりがついた。
「自動……」
総長室、恐ろしい。
どれだけ最新版なのだろう。
「前の代が最初のものが好きな人だったからだな。なにかと新しいものを取り入れたらこうなったとか」
あたしの疑問に答えるようにそう言った。
そしてあたしに向かって命令する。
「座れ」
まるで動物を扱うかのように、だけどその瞳は何故かあたしには優しく感じて。
「腕」
そう言われただけなのに、素直に差し出してしまった。
そうすると黙ってここにあったものなのかわからないが、道具を準備すると、消毒し始める。



