よほど難しい顔をしていたのだろうか。
「和佳菜」
仁が声をかけたのを、あたしはしばらく気がついていなかった。
「……何かしら」
「今日は倉庫に泊まれ」
「……倉庫、に?」
驚きが勝ってすぐに返事が出来なかった。
「この頃お前の周りは色々と危ない」
まあ、確かに色々とありすぎた。
主にというか、南が変なことをしてくるせいなのだけど。
Breakが何故あたしを襲ってきたかもはっきりしない。
襲ってきた男だって釈然としないことばかりだ。
あたしの顔を知っていることはまだ理解できてもあたしがこの時間にここにいるのを知っている人なんてそう多くはない。
南の考えていることがわからずに戸惑う。
「でも、貴方危ないとは思わないの?」
あたしは貴方の味方にはなれない。
でも、敵でもない。
そんな相手を倉庫に招き入れるの?
「お前、自分が敵だとでも思ってるのか?」
「…質問に質問で返すのはずるいわよ」



