「陽太が返事をしないなんて、珍しい」
そんなこともあるだろ、と仁はこともなさげに相変わらずの仏頂面であたしに言った。
それからまた特に意味もない話を続けていると、陽太が声をかけてきた。
「仁さん、和佳菜さん」
「なんだ」
「全て終了したので報告に」
「わかった。ご苦労だったな」
陽太は、帰ろうとしたけれど。
「ちょっとまって」
ひとつだけ、どうしても確認したいことがあった。
「陽太、あの男には今を逃したらいつ会える?」
「あのって、バイクのあいつですよね?そうだな、治療とか含めると、1週間くらいですかね」
1週間、か。
結構長い。
「なに?聴きたいことがあったなら聞いておくけど」
「…ううん、平気。ただ、あたしのことを知っているみたいだったから気になって」
この1週間で、情報はある程度の族には広まったらしいけど、こんなに早くやってくるとは予想外だったが故に、早めの情報が欲しかった。
だってあたしの勘が囁いている。
あたしを襲った目的も知らず、誰に指示をされたかは全てBreakの総長、真田 康次郎(さなだ こうじろう)だと彼は言ったけれど。
本当にそうとは思えなかった。
だってそれだったらあんな殺意を持った目であたしを見られないはずだから。
あの男だってあたしに殺意を持っているのだけど、彼はその全てを言わない。
あの男はたしかになにかを知っている。
そう思うと、早く話がしたかったけどそれも難しいようだった。



