それから仁に向き直ると。
「では仁さん、この男は」
「佐久間さんのどこにでも運んでおけ。話はそれからだ」
「このバイクは」
「こっちで回収する」
「了解です」
「それと陽太」
「なんでしょう」
「あまり和佳菜に近づき過ぎるなよ」
ずっと真顔でやり取りしていた陽太がこの時だけおかしげにくすりと笑って。
「大丈夫ですよ」
そう言った。
「ねえ仁。どうして陽太はあたしに近づきすぎてはならないの?」
「お前が知っていい話ではない」
「ダメならあたしの前でしないでしょう」
ねえ?と、陽太に聞き返すと、彼は曖昧に微笑んで。
では失礼します、とだけあたし達に伝えると携帯電話を持って仕事に戻ってしまった。



