制服が破れたことであたしの身を守ってくれたせいか。
右腕に赤くかすり傷がついただけで済んだ。
「これくらいならいいか」
あたしは自分にできた傷を嘲笑ったけど。
「馬鹿!何やってんだ。よくねえだろ」
すぐに飛び出してくれた仁は持っていたハンカチで丁寧に巻いてくれる。
あたしの手を小さく撫ぜたその手は、茶色に焦げていてそれでいて大きい。
「ありがとう」
「守れなくてすまない。俺がいたのに」
あたしはお礼を言ったのに、哀しげに瞳を揺らす仁。
「平気よ」
そう言っても彼はすまなさそうに頭を下げた。
「……仁」
「なんだ」
仁は顔を上げない。
「あたしね、だれかに守ってもらうつもりなんてないの」
驚いたように仁が顔を上げた。
だけど、これは本当。
姫という存在がたとえ特別でも、あたしは世間一般のお姫様のように振る舞うつもりはない。
そんなのつまらないから。
SPやガードマンに囲まれて、誰かの力を借りて生きていくのなんて楽しいわけがない。
あたしは自分が自分らしく好きなように生きるのが一番楽しいの。
「だけど貴方を心配させてしまったのは本当の事よね。ごめんなさい」
「心配しないわけがないじゃねえか。お前はたった1週間で俺らと仲良くなったんだ。大事なお前に傷なんかつけたくないんだよ」
仁がそんなことを言うなら、あたしは少しは自分の身体を大切にしなければならないじゃない。
王様の命令は、絶対、なんでしょう?



