走ってくるバイク。
その姿に迷いなんかなかった。
ああ、この人には殺意がある。
あたしを、たしかに殺そうとしている。
目の前の男の強い視線をはっきりと感じた。
「和佳菜!」
仁の叫ぶ声に。
仁…見ていて?
そうニヤリと笑って、目配せして。
バイクに当たるスレスレであたしは角からいなくなる。
いや、もう少し当たってしまったんだけど。
するりと抜けたあたしに男はもちろん仁も驚いていた。
もちろん、驚く彼らを見る余裕さえあたしにはあった。
バイクはビルの角に衝突し。
衝撃で男は動かなくなった。
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