「…あいつは、Breakっていう族の副総長だ」
Break。
名前だけの意味を辿れば、切断する,壊す,割る,砕く,引きちぎる,もぎ取る,折る,骨を折る,関節をはずす,脱臼させる。
そんな殺意を込めた名前にしなくてもいいのに。
でも実際彼らのやっていることは恐ろしいようで。
「恐喝なんて当たり前、金品強奪にスリ盗みだってなんだってやるような危ない族だ」
あたしの家に着いてから仁は不安げにこちらを見てそう言った。
そんな恐ろしい人には見えなかったけど。
だけど、確かに。
南の冷めた目だけは怖かった。
まるであの人を見ているような気がして。