「なら、いいや。そうだね、君のお仲間wolfくんも来るよね。僕、ここでおいとまするね」

「はい。出来るなら、もう2度と目の前に現れてくださらないことを願っています」

「それは難しいかなぁ」


ふふふと楽しそうに笑うと。

「また来るね、お嬢サマ」

路肩に寄せていた車に乗っていった。




「和佳菜、平気か?怪我はないか?」

走ってきた綾に、そう問いかけられた。

「ないけど。何、どうしたの?あたし、南さんとお喋りしていただけよ?」


あれ、なんでむっつり顔になるの?

「…和佳菜」

とんでもなく低い声で、呼ばれる。

「なに?」


「1人にした俺も悪かったけど、あいつとは関わらないでくれ」

「あいつって、南さん?」

「そう、他にも色々と関わって欲しくない奴はいるが、ひとまず南と、その周りにいる奴には関わらないと約束してくれ」


…綾が焦ってる姿なんて初めてみた。

いつも基本的には明るいけど、冷静に物事を見極める綾からは考えられないほど低い声。

彼を焦らせる南とは、一体どんな男なのだろうか?