それから、電話の中からドンドンドンとドアを叩く音がする。
『僕だよーお姫様ーー?』
『え、…南?』
その和佳菜の小声ではっきりした。
やっぱり見られてたか……___。
「和佳菜、開けるな。誰かがあいつを不審者だと思って通報してくれるまで待て」
『そんな都合のいいこと、あるわけないでしょう』
怒りを含めた声が俺の耳に響いた。
『お姫様ー?いるんでしょーここに』
それでもドンドンという音は止まない。
「ねえ綾、近所迷惑になることだし、出てもいいんじゃない?」
周囲に変だと思われることを避けたい彼女はそう言ったが。