「構わねえよ」

彼がそう言ったので、何を思っても知らないよとでもいい言うように目を細く嘲り笑うように口角を上げると、こっちと綾を呼んだ。


何があるわけでも無いけど、彼はあたしを疑っているのはきっと事実だろう。

彼がどう思ってもあたしは何も感じない。


……そう、決めた。






「…どうぞ、上がって」

「邪魔するな。…お前、随分男っぽい部屋だな」

「そうかしら」

5階にあるあたしの部屋は、琢磨の趣味でできていた。

ソファもベッドもエアコンも、スプーンひとつ取っても全てが琢磨の好みだ。

でも、それは、あたしがこっちに来るって知った時、琢磨が全て揃えてくれたからそうなったのだけど。

それはきた時はあたしが家具を揃えたかったと思ってたけど、住んでみたら本当に楽で今では少し感謝してるくらいだ。

まあ、こっちに来て落ち着いた今は少し変えようと思ってるけどね。